令和3年度:『京都の自然とわっかになろう~もり・つち・たべものコンポスト』生活協同組合 生活クラブ京都エル・コープもり部

生活協同組合生活クラブ京都エル・コープもり部(以下もり部)は、「森の循環」と同じ「サステナブルな暮らし方」を生活の中で実践する一つの方法として「もり・つち・たべものコンポスト」を広めています。
活動は今年度で2年目を迎え、生ごみのたい肥化はごみ減量の効果だけでなく、「自然の循環」の一部であることを共感してもらう教材作りに取り組みました。具体的には、講習会等で活用する子ども向け絵本を作成しました。どのような絵本を作られたのか、その趣旨や内容、その他、現在の活動内容について代表の森知津子さんにお話を伺いました。

もり・つち・たべものコンポストの普及活動は2年目に突入

 もり部が普及している生ごみコンポストは、京の杜プロジェクトの協力を得て、上賀茂神社や醍醐寺の落ち葉たい肥を基材としたコンポストです。このコンポストの普及に当たって、先駆者である京都市内の実践団体と連携したり、アドバイスを貰ったりすることで昨年度スタートし、2年目の2021年度も6月と7月、そして秋以降も継続的に土の配布会を行い、配布会に併せて生ごみたい肥化実践者の情報交換会を開きました。
生ごみをたい肥化をする意味を理解するため、6月13日には京都市ごみ減量推進会議の掘孝弘を講師に迎え、オンライン講演会として食品ロスの講座も開催し、生ごみたい肥化の実践仲間を増やすことに取り組みました。
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落ち葉腐葉土の配布会の様子

農業生産者と繋がる活動に発展

 この活動を進めていくと、実践者から「マンション住まいなどでたい肥化した基材を活用する場所がない」という声が出てきました。そこで、2年目は実践者メンバーの生ごみたい肥を農作業現場に使ってもらえる連携先を探したところ、白川総合支援学校や伏見区にある中嶋農園さんが受け入れて下さることになりました。白川総合支援学校では、生徒さんと定期的に農作業を共に行い、中嶋農園ではサツマイモ苗の植付けと収穫作業体験の場を設けました。とりわけ中嶋農園さんは、お野菜を届けている社員食堂やお惣菜屋等から排出される生ごみを活用した生ごみたい肥を利用して農作物を作っておられる生産者で、家庭だけでなく、私たちの暮らしからでる食品ロス削減の実例を知る上でも、大切なパートーナーが見つかったと森さんは感じているそうです。
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中嶋農園でのサツマイモ収穫

土とのつながりの理解をさらに深める絵本を作ろう

 通常の活動には子育て世代の参加も多く、お子さん連れで土の配布会や農作業に参加される家族の姿が見られます。そこで、私たちの暮らしが、自然の循環の中で育まれていること、土の恩恵を受けていることを子どもにも伝える手段として絵本作成をもり部は試みました。
絵本のタイトルは「土はちきゅうのたからもの」で主人公の圭くんが土の専門家であるおじさんから土の役割について教えてもらうストーリーです。土も「京北の土ジョー」として登場し、圭くんとの対話と、迫力のある絵が印象的な絵本です。私たちに恵みを与えてくれる土は、何万年もかけてつくられるものであること、土の中にいる微生物や生き物が豊かな土を作る助けになっていること、そして生ごみコンポストも土を作ることにつながっていることなどが絵本の中で分かりやすく語られます。
 今回もり部の森さんを取材した日も、紙芝居仕立てになったお話を披露されました。お話を聞いていた子どもたちが、「あっ、カブトムシの幼虫だ、ミミズだ、とお話の途中でも絵をみて声を挙げて反応していました。
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 この絵本の作成に当たっては、京都府立大学生命環境科学研究科学部准教授で土壌学が専門の中尾淳先生に協力をいただき、絵本の内容の正確性を専門家の視点で確認してもらったそうです。できあがった絵本を見て、子ども向けに土のお話を伝えるよい資料になったと評価されました。この絵本は、中尾先生が主宰される子ども向けプログラムでも活用してもらう予定だそうです。

地域循環の活動を地域の人の手で

 もり部の「もり・つち・たべものコンポスト」の取組みは、京都の自然と輪っかになる試みとともに、京都の地域の人と連携して進める取組でもあります。
コンポストの基材は「きょうとのもの」をできるだけ使い、京都で活動する人とのつながりの輪を広げています。京の杜プロジェクトや桃山エコ推進委員会に落ち葉たい肥の活動はお世話になり、宝ヶ池の自然保育森のようちえん「どろんこ園」や、木津川市鹿背山「山城ごはん」など京都で子どもの活動を支援する団体ともつながり、紙芝居のお披露目を実現することができました。
 2022年度は、森とのつながりを体感する「森のお散歩」イベントも予定しており、そのお散歩を通じて京都の里山活動についても知る機会を設けるとのことです。自然の輪、地域の輪の取組がさらに広がることが期待されます。
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紙芝居読み聞かせの写真(上:どろんこ園で読み聞かせ、下:山城ごはんでの読み聞かせ)

ごみ減のサイト

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