平成30年度 廃棄学校制服のアップサイクルによる衣類ごみ減量化の啓発 その2

アイデアが形に

平成29年度、京都市立京都御池中学校との廃棄学校制服のアップサイクル(有効活用)を実施した一般社団法人 日本繊維機械学会 繊維リサイクル技術研究会(以下、繊維リ研)。今年度(平成30年度)は、2校目となる京都市立大原野中学校にて、環境学習とワークショップを実施、お下がりとしても使えない学校制服が、生徒たちのアイデアによっていよいよ生まれ変わります。
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自分たちの制服が大変身!

今回、製品化が進められているのは、「紙ファイル」と「コインケース」の2点。昨年11月に生徒たちから出されたアイデアを繊維リ研で精査し、紙製品、樹脂製品とも、それぞれの特性が活かされ、学校生活の中で役立つものが選ばれました。デザインは、京都女子大学の学生に依頼、現在、ワークハウスせいらん(就労継続支援事業所)の協力を得て、製品化の作業が進められています。
京都市立大原野中学校での取組に加え、昨年6月にはノートルダム女学院中学高等学校の生徒たちと一緒に、学校制服のアップサイクルについて考える機会もありました。「制服デザインの刷新に伴い、想い出の詰まった旧デザインの制服を手元に残したい」という希望に応え、旧デザインの制服の色を活かしたマグネットバーを開発。9月に開催された文化祭で、主に卒業生に向けて販売されました。ノートルダム女学院での活動は、前年度に京都市立京都御池中学校で実施した廃棄学校制服のアップサイクルの実績を知った女学院からの依頼で実現、このように、活動の輪が少しずつ広がりを見せています。
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パネル展示で普及啓発を

繊維リ研では、前年度・今年度の活動をより多くの人に知ってもらうため、パネル展示「ごみ減量プロジェクト ~廃棄学校制服が大変身!~」を実施。京エコロジーセンターとの共同主催型企画展示として、1月11日から3月末まで同センターにて開催されています。繊維リサイクルによって生み出された様々な製品や素材を実際に触ることもでき、教育現場でのアップサイクルの成果や繊維リサイクルの仕組みについて、分かりやすく紹介しています。パネルのイラストは、京都女子大学の学生に協力してもらい、全ての漢字にルビを振るなど、子どもたちにも読みやすい内容にしました。
2019年4月13日から5月31日には、国崎クリーンセンターゆめほたる(兵庫県川西市)にて同企画展示が開催され、学校制服のアップサイクル活動の普及啓発に繋がることが期待されます。
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京都から全国へ

繊維のアップサイクルを成功させるには、「地域や身近な範囲で資源循環がなされること。回収の協力だけではなく、再生される製品の需要がなければ、その事業は継続できない」と、この活動のリーダー、沖本 智美さんは話します。学校制服のように、身近な存在で愛着のあるものは、アップサイクルへの協力を得られやすいとも教えてくれました。
繊維リ研代表の木村 照夫さんは、この廃棄学校制服のアップサイクルを「京都市内の多くの学校や研究機関(大学)、企業等を巻き込みながら、関わる人たちの暮らしにプラスになるごみ減量化事業モデル『京都モデル』として、全国に水平展開していきたい」と意気込みを語ります。そのためには、一過的なものでなく、継続できる仕組みであること、活動や製品化の費用が確保できるかどうかも重要な課題です。
学校制服を活用した繊維の「地産地消」は、これからの資源活用のあり方に一石を投じる画期的な取組として、今後の活動にも注目が集まります。
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(レポート 平成31年2月25日)

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