令和元年度 生ごみたい肥化プロジェクト

Sees of sustainability of Kyotoでは、15軒の近隣住民がチームとなって生ごみを資源として集めたい肥化し、農作物栽培のための肥料として活用するプロジェクトを2019年夏から始めました。この取組について、代表者のチャールズ・ケイザーさんや本プロジェクトに協力されたメンバーにお話しを伺いました。

小さなコミュニティーで実践するごみ減量取組=生ごみのたい肥化

プロジェクトリーダーのチャックさんは京都市内の中心地、中京区聚楽廻町で生ごみたい肥化プロジェクトを下記のような手順で進めました。

1.近隣家庭(20か所程度)の協力を得る。
2.協力家庭に生ごみ保管用バケツを配布する。
3.協力家庭は、そのバケツに溜まった生ごみ(野菜クズ)を決められた地域収集ポイントに設置したバケツに移し替える。
4.収集ポイントのバケツが一定量集まったら、チャックさんが郊外の農地にあるたい肥化フィールドに運び、ボランティアの協力を得てたい肥化を進める。たい肥化促進のために、籾殻を混ぜ込む。
5.一定期間(数ヶ月)で生ごみをたい肥に変え、協力家庭に一部たい肥を戻し利用してもらう。
画像の説明文
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地蔵盆でつながる縁

このプロジェクトを始めるにあたり、まずチャックさんが手がけたのは、このプロジェクトについてのわかりやすいパンフレットの作成です。チャックさんの小学生の息子さんのわかりやすいイラスト入りです。そして、8月末の地蔵盆でこのパンフレットを使って、参加者の呼びかけをしました。
私の今回の取材ではプロジェクト協力者二人の方からお話を伺うことができましたが、どちらも地蔵盆の呼びかけを受けて、この取組みを知り協力することを決めたそうです。実際に取り組んだ感想を聞くと、お二人とも困ったことは何もない、とても楽しく取り組んでいるとのことでした。
画像の説明文
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手間はあんまり変わらへん

「どっちみち放す生ごみ、同じ運ぶならたい肥化バケツへ、手間はあんまり変わらへん。」とおっしゃるのは協力者のお一人の小谷さん、ご自宅から収集ポイントまで運ぶ距離も歩いて数分だそうで、1〜2日に1回生ごみを収集ポイントに持参します。配布されたバケツで外に生ごみを保管しているが、動物に荒らされる被害もなく気持ちよく取り組めているそうです。「その上、環境に良いことをしていると感じるし、実際ごみを出す量が減っているので、ごみ袋を買うお金も少しは節約できていると思う」と、小谷さんは笑顔で答えてくれました。
 もう一人の協力者である木村さんも同じように楽しく生ごみたい肥化に参加されており、「私はごみが減り、それが資源になるし、チャックさんにたい肥として活用してもらえるし、ウィン・ウィンの関係やね。」とも。木村さんはチャックさんのお向かいさんで、生ごみも出たら1日2回でも収集ポイントに持ってくるそうです。「自宅で生ごみを貯めるのも収集ポイントに持っていくのもあんまり違わない。だから、全然苦にならへん。」とのことでした。
参加の様子

生ごみがたい肥に、レタスに変わる?

今年度は15軒の協力を得て、約半年で推計300kgの生ごみを集めることができ、500kgの籾殻と混ぜてたい肥化し、最終的には500kgのたい肥が出来上がりました。完成したたい肥は、近郊にある有機農園で主に利用されますが、一部はそれぞれ協力してくれたご近所さんに返す計画です。それも単にたい肥を返すのではなく、たい肥入りの土で育ったレタスの鉢を「お返し」にすることをチャックさんは思いついたそうです。3月末には大きく育てたレタスを各家庭に配る予定です。
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地域活動として続けたい

今後の予定を尋ねると、「ご近所さんの協力も得られるようになっていますので、今後ももちろん続けますよ。急にストップしたら、みんなびっくりするでしょう。」とチャックさん。今年度は、集める生ごみの種類は野菜クズだけでしたが、今後はコーヒーかすや卵の殻も集めていきたいそうです。
そして、この活動をさらに地元の学校と連携できればと考えています。ただ、継続するためにはたい肥化のために使う資材である籾殻などの費用をどうやって捻出するのかが課題です。京都市ごみ減量推進会議による今年度は補助があったので、バケツを購入したり、籾殻を用意したり、たい肥化のための資材購入ができました。今後も生ごみたい肥化プロジェクトを持続可能な取組にするには、近隣公園などの落ち葉を集めたい肥化資材として活用するなど知恵を絞っていきたいとのことです。
このプロジェクトの翻訳などサポートをしている山本風音さんは「地域の方々が共感して参加してくれたことが良かったと思う」と今回の取組を振り返ります。「日本人や地元の人と違う感覚を持ったチャックさんのような人が、身近な人を巻き込んでいくことで、環境や持続可能性に対する意識も少しづつ変わっていくのかなと思っています。」と、アメリカ人であるチャックさんがこの取組のリーダーであったことも今回の成功につながったと感じているようです。
Sees of Sustainability Kyotoの取組が、小さなコミュニティー単位でごみ減量活動を広げるgood practiceになり、京都市内の他の地域にも広がっていくモデルになっていくことを願ってやみません。

ごみ減のサイト

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