平成30年度:フードドライブ レポート その2

画像の説明文

「フードドライブ」の流れ

「フードドライブ」は各家庭で余っている食品を提供していただき、行政の福祉担当課や支援団体を通じて、生活で困っている方々に無償で届ける活動です。
フードバンク活動を行っている特定非営利活動法人セカンドハーベスト京都では、2016年6月からフードドライブにも取り組まれています。

個人から提供された食品が具体的にどのように活かされているのか、あらためて理事長の澤田政明さんにお話を伺いました。

緊急支援

フードドライブで集まった食品は、京都府内の支援が必要な方のもとへ「緊急支援」として宅配便や直接配送で届けられます。緊急支援は、セカンドハーベスト京都と承諾書を交わしている行政や社会福祉協議会などから、要請が入ります。それを受けて、被支援者一人あたり20食分を送ります。集まった食品はほとんどこの活動で出ていくそうですが、残りが出た場合は翌月が賞味期限のものをまとめて、毎月第3火曜日にDVのシェルター施設や自立援助ホームへ提供されます。

セカンドハーベスト京都に緊急支援を要請される団体には、原則として1案件あたり3カ月を限度に支援します。受け取った団体からは利用者へ手渡してもらうようにし、支援物資を送りっぱなしにせずにきちんと生かされているかを確認するための仕組みが整えられていました。物流の専門機関として福祉の専門家につなぎ、困っている人の手元に着実に届けるという立ち位置を明確にされています。
画像の説明文

食品を無駄にするくらいなら

フードドライブで食品を集める拠点を増やすための努力も積極的にされています。これまでに京都生協の店頭(コープパリティ店、コープ醍醐石田店)とイベント会場などで展開されていますが(前回の記事を参照)、さらなる協力施設の拡大をめざして小売り企業など様々な方面に働きかけをされています。ただ、残念なことに今のところあまり成果が上がっていないそうです。早くから活動の始まった東京に比べ、京都では認知度が低く、社会の理解がまた追い付いていないとのこと。
画像の説明文
画像の説明文

企業の協力のネックになっていると考えられるのは、フードドライブで問題が起こった際の責任問題です。クレームがつくことを恐れて協力企業が集まらないのではとのこと。海外では善意での行為による問題は免責されるような法整備がされており、日本でもそれが進めば潮目が変わることが期待できます。超党派で議員立法が進められている「食品ロス削減法案」にそれが盛り込まれ、早期に成立されるように全国のフードバンク団体と協力しつつ働きかけをされているそうです。(2019年3月12日現在)。

公的施設での実施には、回収会場にスタッフが常駐することを求められるため、ボランティアの手が足りない現状では難しいとのこと。様々なつながりを活用して柔軟な対応を求めてはいますが、現在までのところまだ理解が得られていないということでした。

家庭からの食品ロスの問題は深刻で、食べ残しと見られるごみのうち、手つかずで捨てられている食品が半分近くを占め、年間で1世帯あたり6万円分もの食品を捨てていると言われています。(下のウェブサイト参照)

一方で、子どもの貧困は7人に1人と言われる現代、京都府の貧困率は全国平均よりもさらに高いそうです。最近はフリーマーケットなどで安く物が手に入るため、服装を見ても生活状況はわからず、「見えない貧困」が近年の特徴なのだそう。

本当に困っている家庭の子どもは「子ども食堂」には来ないとのことで、困っている人の手元により確実に届けることをめざし、市の教育委員会を通じて各学校とつながって、支援の要請があった家庭に食べものを直接届ける活動もされています。今年度は児童扶養手当の対象となる1300世帯に案内し、要請があった185世帯に支援をされてきました。子どもが3人いる母子家庭でパートの収入が月10万円というような厳しい現実に常々向き合いつつ、より効果的な支援を模索されています。
 ボランティアも活動資金も物資も十分ではない中で、多くの方に知っていただき、活動を拡げていくために日々奮闘されている様子が、お話から伺うことができました。
画像の説明文

皆さんもイベントを企画される際には、その一角にフードドライブのコーナーを設けてみられてはいかがでしょうか。行政による貧困対策が不十分な現在、市民による助け合いを進めると同時に、捨てられる食べものを無駄にしないフードドライブへの参加機会がもっと広がっていくことを願っています。

参考
フードドライブとは(セカンドハーベスト京都ウェブサイト)
https://www.2hkyoto.org/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

参考
年間で1世帯あたり6万円分もの食品を捨てている!?
http://sukkiri-kyoto.com/about/data

(京都市生ごみスッキリ情報館)

ごみ減のサイト

ページの先頭へ戻る