平成29年度:「廃棄学校制服の有効活用による衣料ごみ減量化」:レポートその3
[一般社団法人日本繊維機械学会 繊維リサイクル技術研究会③]
[平成29年3月2日取材]
アップサイクル品贈呈
年度末も近づいてきた3月2日、8ヶ月ぶりに一般社団法人日本繊維機械学会 繊維リサイクル技術研究会のメンバーが京都市立京都御池中学校7年生の授業に参加しました。
今回は、8ヶ月前の7月に行われた授業で廃棄制服のアップサイクル品に何を作るかを真剣に考えてくれた学生たちへ、活動報告と完成した製品の贈呈式を行いました。
御池中学校での制服リユースは3、4年前からスタートしており、今回のアップサイクルに使われたものは、お下がりとしても引き取り手がなかった制服71着。制服の反毛(はんもう)工程(わたに戻すこと)では、制服の裏地に使用されていた白糸が混入するという予想していなかったトラブルが発生し、このままでは次工程の不織布製造工程で受け入れてもらえない状況になるなど、一時は完成が危ぶまれる事態にも陥りましたが、難問をクリアし、無事に完成することができました。そして、今回のアップサイクル品をより魅力的なものに引き立てる重要な役割をしているのは、京都女子大学の協力によりコンペ形式でデザインを決めた「織りネーム」と筆箱の中に入れた製品を説明する「ストーリー紙」。筆箱を手に取った生徒たちは、生地の感じや「織りネーム」、「ストーリー紙」を見て色々と感じ取ってくれていたようでした。
筆箱の中に入ったストーリー紙を真剣に見てくれていました
みんなが欲しくなるもの 役立つものへ
授業の最後に書いてもらったアンケートでは、このアップサイクル品の筆箱を“買う”と答えてくれた生徒が多くおり、購入希望価格は数百円から千円台までそれぞれの値段を考えてくれていました。 “買う”と答えた生徒からは、「使っていた制服が筆箱になり、その筆箱を使うことによって自分が社会に貢献できていると感じるから」という感想や、“買わない”という回答の生徒の意見の中には、「欲しくなるデザインだけど、制服をリサイクルしていることを在校生に説明して、環境問題について考えてもらうため、今回のように寄贈することがいいと思う」という意見もあり今後にいかせる貴重な生徒たちの意見を聞くことができました。すぐに筆箱を使い始める生徒や、次の製品案を考えてくれる生徒たちなど、今回の事業で伝えたかったことが、伝わったことを実感することができた貴重な時間となりました。今後、この活動がどのような展開を見せて行くのか、この先も目が離せません。
今回作成した防災頭巾と筆箱
以上