平成29年度:「始末のこころ&行動」大作戦実行委員会 レポートその1

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[平成29年7月17日取材]

学生・若者とシニア世代の協働による地域版「始末のこころ&行動」大作戦

採択団体:「始末のこころ&行動」大作戦実行委員会。(株)応用芸術研究所

 町では祇園祭の雰囲気が高まる頃,とても暑い夏の日に,大本山妙蓮寺内で「始末のこころ&行動」大作戦~キックオフ講演会&相談会~が開催されました。案内には先着30名とありましたが,実際は椅子が足らないほどたくさんの方が参加していました。副題の「はじめてみませんか?お片づけから地域の輪づくりへ!」が響いたのか,参加者は高齢の方にとどまらず,若い世代も来場していました。
 はじめに「始末のこころ&行動」大作戦実行委員会実行委員長の片木孝治さんから,団体紹介や事業背景,目的,内容などが話されました。WHО(世界保健機構)や国連の定義によれば,65歳以上の人口の割合が21%超で超高齢社会といいますが,日本はすでに27.4%(2017年現在)で,世界で最も早く高齢社会を経験していきます(2060年には約40%)。各家でモノがあふれすぎて,家の中でつまずいて転んだりするリスクや,災害時や空き家になったときにすべてがごみになってしまう可能性を考えると,喫緊の取り組むべき課題と言えますが,事業背景のご説明の中では,特にネガティブな言葉では表現されておらず,

 「もの」が「ごみ」として処理されるのではなく
 もっとステキな「しくみ」で活かしたい!

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 というポジティブな思いでされているのが伝わってきました。
 事業目的も3つの「サイコー」を軸にと表現されていて,すぐにごみにしてしまう現代の価値を「再興」する(こころ)や,一人ひとりが考える機会を作る「再考」(人)や多世代共創など失われつつある関係づくり,新しい関係づくりの「再構」(行動)と話されていました。そして,「ごみの減量・リユース活動からサイコー!な未来をつくる」という宣言のような言葉もあり,終始前向きな雰囲気でした。
 事業内容の具体的な説明によると,シニア宅に未整理の状態で置かれている「さまざまなモノ」について調査・研究し,シニアご本人・ご家族の希望によってはそれらの「モノ」の整理・清掃をお手伝いする活動を目指しています。更にシニアご本人の承諾が得られた不用品は若者(大学生)が運び出し,フリーマーケットなどを介して,新しい利用者へとひきつがれ,不用品がリユースされることを目指します。
 講演会は続いて,3名の方がそれぞれの角度からお話を提供してくださいました。まず,「老いる前にモノの整理を」というタイトルで昨年類似事業を展開されたコンシューマーズ京都の原理事長のお話,家の片付けや不用品処理などをお仕事でされているくらしコープの江尻理事のお話「ごみを相続させたくない親心」,また長年ごみの組成調査に関わっておられる京都大学の浅利美鈴先生からは「今しかできない!ごみ調査」ということで,これまでの調査の紹介に加え,これから募集したい内容の声かけがありました。
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 発表をお聞きしている中で,このプロジェクト団体の強みは,学生さんなど若者がいること,ごみの研究者がいること,またくらしコープさんやコンシューマーズ京都さんなど実際に現場を知っていらっしゃる専門家がおられることだと思いました。
 個人の片付けに関連する企画がブームとなっていますが,地域で面的に取り組みたいという発想や多世代で問題解決に向かう手段は新しく,今後の展開が楽しみです。他にない取り組みになるので,紆余曲折や新たな課題も見えてくるとは思います。実験的先進的事業ですので課題が見えることも含めて成果として共有していただければと思います。

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