平成28年度:「めざせ!京都土産エコ包みプロジェクト」:その1

エコ包み表題

[平成28年11月24日取材]
11月23日、24日の両日、京都大学大学院地球環境学堂研究室の一室で、「京都観光土産エコ包みコンテスト」の審査会が開かれました。このコンテストは、環境に配慮した包装の京土産(菓子類)を発掘し、更なる波及を目的としたもので、土産物のエコ化に関する課題や可能性についても考察します。主催は、めざせ!京都土産エコ包みプロジェクト。本プロジェクトの代表は、ふろしき研究会代表の森田知都子氏で、審査員には日本写真印刷(株)総務部環境安全グループ長の麻埜(あさの)豊彦氏、編集者・ライターの黒田正子氏、未生流笹岡家元の笹岡隆甫氏、デザイナーの竹林善孝氏、京都府立大学生命環境学部教授の宗田好史氏が参加されました。

・コンテストの応募要項については、ふろしき研究会のホームページをご参照下さい。http://furoshiki.life.coocan.jp/1609HP/eko.html

ムダなく、美味しく、魅せる京土産

応募があった土産物は、自薦(持ち込み含む)、他薦を併せて22点。全ての応募商品は、外箱・内箱・袋や紐類、更に個包装材や緩衝材に至るまで素材が明らかにされ、包装材のサイズやリサイクルマークの有無、推薦理由等が記された資料にまとめられました。これらの資料を参照しながら、審査員は一点一点、土産物を手に取りながら、優れている点や課題等を点数化し、それぞれの審査員が出した点数を総合し、グランプリや優秀包装土産品を選びました。
コンテストの審査ポイントは、環境に配慮した包装であると同時に、商品の良さや美味しさが伝わるデザインであるかどうか、また、商品が適切に保存され、安全に持ち運びできる包装かどうかも問われます。紙箱や缶箱については、リサイクルをする際に分別しやすいかどうかや別の用途に再利用しやすいデザインかどうかも審査されました。更に、土産物を選ぶ人、もらう人に「京都にはこんなに素敵なお土産があるのか」と感激してもらえるような、わくわく感やときめきがある商品かどうかも重要なポイントとして審査されました。
応募商品の中には、包装紙が栗の殻入れに変身するものや、外箱のデザインと中身の味を好みの組み合わせにできるもの、ふろしき風の不織布の包みで可愛らしさや京都らしさを表現したものなど、自薦・他薦に関わらず、企業の工夫が感じられるものがありました。ただ中には、この緩衝材は本当に必要なのか、この中袋や掛け紙はどうなのか、といった指摘もなされ、更なる省資源化やデザイン性の向上が期待されるものもありました。
審査の様子1

包装材、その役割は無限大

 取材の際には、デザイナーの竹林善孝氏にお話を伺うことができました。「近年、なるべく包装材にコストをかけまいと、安く生産できる素材を使うことが多く、商品の持つメッセージを効果的に表現できていないパッケージをよく見かけます。京土産は、京都を訪れた人から人へと渡るので、もの凄い伝達力があるものなのに、包装材についての考え方はまだまだ根付いておらず、容器包装の役割がきちんと浸透していないと感じています。」森田さんも、容器包装についての知識を学ぶ機会が少ないと感じており、その問題提起も含めて、本コンテストを通して訴えたいと語ります。包装材の歴史を振り返れば、竹皮や木箱など、素材の持つ抗菌性や保湿・除湿性を活かし、用途に合わせて使い分けてきた歴史があります。何でも簡単に「プラスチック」に置き換えるだけではなく、今一度、目的に合った包装材とは何かを考え直す時ではないでしょうか。竹林氏からは、「和菓子の製造過程で出る小豆カスを紙に漉き込み、商品の包装紙として活用した例もありますし、脱酸素剤が充填できる紙もあります。また、スチール缶やアルミ缶は、中身を食べ終わった後に物を入れておくというリユースもできますし、素材そのものが有価物です。プラスチックに押され、近年非常に少なくなっていることを残念にも思います。」と審査を終えて、所感を述べて下さいました。

お土産は、その土地を訪れた喜びのお裾分けです。スタイリッシュで、みんなが笑顔になる京土産を増やしたいものですね。
審査の様子2

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