できるだけ捨てない整理収納ワークショップ~衣類編

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できるだけ捨てない整理収納ワークショップ報告

 平成27年度 普及啓発部会 市民向け講座開催報告

催し名:できるだけ捨てない整理収納ワークショップ~衣類編
日 時:平成28年3月21日(月・祝),14時から16時
場 所:京都市中京区衣棚通三条上る ちおん舎
講 師:森下真紀さん NPO法人暮らしデザイン研究所理事長,整理収納コンサルタント
参加者:19名(定員20名)

以下報告文

 平成28年3月21日(月・祝),築150年の京町家・ちおん舎で,「できるだけ捨てない整理収納ワークショップ~衣類編」を開催しました。

 もともと「できるだけ捨てない整理収納ワークショップ」は,整理編,収納編の2回の開催を予定していましたが,多くの申込をいただき,キャンセル待ちも出たため,追加開催されることとなりました。3回目となる今回のテーマは「衣類」です。
講師は整理編・収納編に引き続き,整理収納コンサルタントの森下真紀さんです。参加者は19名(うち1名が男性)。今回初めて参加された方が6名,3回を通して参加された方が6名おられました。

前回・前々回のおさらい

 はじめに整理編,収納編の振り返りを,講師の森下先生がされました。
【整理編】
整理の対象は“モノ”です。断捨離(だんしゃり)という言葉が流行っており,「整理は捨てること」と思っている人が多いが,それだけではない。モノに対する意識を高め,モノを手に取る段階(買ったり,もらったりする時)で,こだわったモノを取捨選択すること。それによって,長い目で見たときには自然とモノの量が少なくなっていく。こだわったモノには自分自身が色濃く反映され,こだわって選ぶと満足度の高い生活になる,そういう生活に切り替えていけるといいですね,という提案をされました。

【収納編】
昨年12月に,モニターさん宅で実施した「できるだけ捨てない整理収納」の実例をもとにお話をされました。

<収納の3つのポイント>
①行動動線を描き出してみる
収納を考える時,引き出しの中の使い方など細かい部分から考えがちだが,まず「部屋をどう使うか」という大きなところから考えることが大切。簡単でよいので部屋の図面を描き,そこに動線を入れながら具体的に考える。こういう動線だから家具はここに配置しよう。その家具には何を入れよう,といった順序で考えていく。

②使用頻度により収納場所を分ける
 使用頻度が高いモノ(目安:1週間に何度も使う)→すぐ手の届く場所へ。
使用頻度が低いモノ(目安:1ヶ月に1回しか使わない)→しっかりしまう。

③シンプルな収納用品を選ぶ
 中が見えるもの,中身が推測できるものが使いやすい。モノを探す時間が短縮できる。

ワーク1/あなたの“衣類選び”のポイントは?

 次に4~5人のグループに分かれて,「衣類のハッピーチョイス」について話し合いました。
森下先生は,「長く着られる」,「着心地」,「似合う色」,「メンテナンスの方法」などをポイントに衣類を選んでいることを紹介されました。
 モノの要素は大きく分けて 素材・色・形 という3つがありますが,参加者が衣類を選ぶ際の基準はどんなことか,各自が3点ずつあげて,それを基にグループ内で話し合いました。
そして,各グループでどんな意見が出たのか,グループメンバーから発表してもらいました。
・着心地のよさを重視。
・自宅で洗濯できるもの,メンテナンスのしやすさ重視。
・サイズ感,体形に合うもの,体形をカバーできるもの。
・シーンに合わせたものを選ぶ。
・長く着られ,着まわしのきくもの。
・素材…天然のもの,肌にやさしいもの,アイロンがけの要らないもの……など。
この他,「いろいろ買っても結局は気に入ったものしか着ていない」,「衝動買いをしないようにしている」,「衣類は自分を表現するものなので,“お気に入り”を身につけていると自分に自信がもてる」,「動物の負担のないものを買うようにしている(毛皮などは買わない)」といった意見が出ました。

 この日の森下先生の装いは,ベージュの着物に桜柄の帯。実は,前回・前々回もこの着物を身につけておられたとのこと。「着物一枚,帯三本」と言われるように,着物は合わせる帯によってガラリと雰囲気が変わり,一枚の着物を何通りにも楽しむことができる――たいへん着まわしがききます。この帯は先生の行きつけのお店で,担当スタッフと相談しながら買い求めたとのお話でしたが,信頼できるお店やスタッフの方とつながっておくことで,上手に衣類選びをすることができます。

ワーク2/お店のハッピーチョイスを考えよう!

 続いて,「お店を選ぶ基準」について話し合いました。
衣類と同様,各々3つずつ出してグループ内で話し合い,それをグループのメンバーが発表しました。
・価格帯が妥当,自分に合う。
・年代的に自分の好みと合う。
・店員さんの対応,的確なアドバイス,知識やセンスが信頼できる。
・陳列が美しい,好みのディスプレイ。
・店内の雰囲気,“気”の流れ。
・作り手の想いがこもっている,商品にストーリー性がある。
・駐車場がある。
・社会貢献度が高い。
・ファミリーセールがある……など。
あるグループでは,「この服が欲しいと思う心は生きている証。ステキな洋服を着ることが生きる気力になる」というお話を年輩の方がしてくださった,という報告もありました。

 モノを選ぶ際に,原材料がどのように生まれてきているのか,地球にやさしいか,人や動物に対する負担がないか,そのお店がどのような生産・流通をたどっているか…等々,さまざまなことが気になるが,個人でその情報を追いかけるのは容易ではない。そこで,お店のポリシーや,お店に関する情報を収めることで,「ここなら大丈夫,信頼できる」というお店を見つけることが,ハッピーチョイスの鍵である,というお話をされました。

一着のフリースを通して,リサイクルと企業の社会責任を考える

 お店選びの一つの参考として,ごみ減量推進会議(以下,ごみ減)のスタッフ,堀孝弘から以下の話をしました。
 「今日,着ていたのは,アメリカを代表するアウトドア用品のブランド「パタゴニア」で購入したフリースジャケットです。購入したのは2001年。価格は,当時,国内のファストファッションブランドが売り出したフリースの8倍していました。迷いましたが,色,つくりともに気に入ったので購入を決意。支払いの際に店員さんから『長年着ていると表面が毛羽立つかもしれませんが,その時は修理しますから』。『裏生地の接着が弱くなるかもしれませんが,その時は持ってきてください』という言葉を2度かけられた。この時,『この服はお店の人に守ってもらっている』という喜びを感じました。実際,15年経った今でも堅牢さを保ち,お気に入りの一着として愛用しています。」などの紹介をしました他,スーツの仕立ての事例を示し,国内縫製でもファストファッションブランドで購入するのと比べ,2倍程度で誂えることができることなども紹介しました。
近年,「ファストファッション」が浸透し,おしゃれな人が増えました。その一方で衣料ごみは増えています。本当に気に入ったものを買って,ずっと長く着る,そういう選択も重要であることを紹介しました。

環境を考えた買い物とは――

 次に,「グリーンコンシューマーの買い物」についてのお話がありました。グリーンコンシューマーとは,「環境に配慮して商品選択をする消費者」のこと。
商品を購入する際,「値段」を考えたり,「性能」,「利便性」,「安全性」など,人それぞれいくつもの選択基準があると思います。そこにもうひとつ「環境」という視点を加えてほしいとして,「環境を考えた買い物」を具体的にまとめた10の目安を紹介しました。 

[グリーンコンシューマーの買い物 10の目安]
1 必要なものを必要なだけ選ぶ。
2 使い捨て商品でなく,長く使えるものを選ぶ。
3 容器や包装の少ないものを選ぶ。
4 作るとき,使うとき,捨てるときに,資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ。
5 化学物質による環境汚染と健康への影響の少ないものを選ぶ。
6 自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ。
7 近くで生産・製造されたものを選ぶ。
8 作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ。
9 リサイクルされたもの,リサイクルできるものを選ぶ。
10 環境問題に熱心に取り組み,環境情報を公開しているメーカーや店を選ぶ。
(グリーンコンシューマー全国ネットワーク作成「グリーンコンシューマー10原則」より)

 それぞれの項目について背景なども含めて説明がありました。そして,「環境を考えたモノ選び」というのは,“買う”ことが大前提ではなく,今あるもので済ます場合や,要らない場合は,“買わない”という選択もある,とのことなども紹介しました。

参加者の方からの質問

 整理編,収納編,衣類編の3回を通して,参加者から質問を受けました。

Q いいモノをよく選んで生きていきたいと思っているが,なかなか現実の生活では難しい。それをやっていくコツや,心に留めていることなどを教えてほしい。
A 決して自分を追い詰めない。ファストファッションの商品でも,それが気に入って買ったのなら,長く大切に着ればよい。キーワードは“ほどほど”。無理せず,楽しみながら,何ごとも“ほどほど”が大切。

Q 世間で流行っている「終活」や「断捨離」は反対。例えば,浴衣は,座布団カバー,おしめ,雑巾にするなど,モノは最後の最後まで使って命を全うさせ,捨てないでほしい。
A まさにこのセミナーのテーマ。「廃棄」という選択は一番最後に,といつも申し上げている。高齢の方が亡くなられた時,一つのお宅が大量廃棄になるという現実がある。やはり,手に入れる時点できちんと選択して欲しいと思う。

Q 先ほど紹介された「グリーンコンシューマーの買い物の目安」を基にして,具体的なブランドを教えてほしい
A ブランド名ではないが,個人で経営されているようなお店で,お店の人にストーリーが聞けるようなお店がよいのでは。

ちおんでの整理収納WS第3回

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