報告「コンパクトライフで,ごみ減量」KBS京都ラジオでのトーク 第8回ゲスト 浅利美鈴さん

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【森谷威夫のお世話になります!!】の番組内コーナーとして放送

コンパクトライフで,ごみ減量
第8回 2016年2月23日(火)12:22頃~

出演者 浅利美鈴(あさり・みすず)さん
(京都大学環境科学センター助教(当時。現京都大学地球環境学堂准教授),京都市ごみ減量推進会議常任理事)

■タイトルコールと提供クレジット
森谷「コンパクトライフで,ごみ減量」
對馬「このコーナーは,京都市ごみ減量推進会議の提供でお送りします。」

■番組の紹介,ゲスト登場
森谷「モノとのつきあい方を見直し,限られたもので豊かに暮らす暮らし方を『コンパクトライフ』と名付け,コンパクトライフに取り組んでいる方に登場していただくこのコーナー。いちおう,今日でひとまずコーナーとしては最終回にはなります。「ごみ減量」。これをテーマにお送りしてきましたが,皆さん,“辛抱する”とか“我慢する”とか,そういう風な辛い感じではなくて,楽しみながら,逆にそっちに魅力がいっぱいあるという素敵な暮らし方をされていますよね。結果的に,『ごみ減ってたんや』ということになっている。そんな暮らし方でしたね。『ごみ減量』のイメージ,皆さんも少し変わったかと思います。これまでの7回を振り返り,共通した何かを見つけたいということで,今日スタジオにお越しいただきましたのは…」
對馬「京都大学環境科学センター助教,そして,京都市ごみ減量推進会議の常任理事でもいらっしゃいます,浅利美鈴先生です。」
森谷「こんにちは。」
浅利「はい,こんにちは。」
對馬「こんにちは。」
浅利「お願いします。」

■浅利美鈴先生の活動
森谷「この番組に来ていただくのは久しぶりですね。」
浅利「そうですね。数年ぶり。」
森谷「何年か前に,毎週のようにずっと来ていただいて,お話ししていただのですが。変わらず浅利先生は,ごみ減量ということで,いろいろと実際に取り組んではったり,学生さんと一緒にやったり,市民の皆さんと一緒にやったり……。今はごみ減の常任理事でもいらっしゃるんですね。」
浅利「そうですね。ごみ減は学生の時からずっと関わってますけど,一応あの中ではそうとう若手なんで…。」
森谷「あはは,今現在もね。キャリアは長いですよ。ごみ減に関わってキャリアは長いですけどね。」
對馬「そうですよ,もちろん。」
森谷「いろいろと企画されてきた中で,番組でもご紹介してきましたけど,『びっくりエコ百選』とか,いろいろ一緒にやってきましたね。」
浅利「はい,そうですね。ちょうど京都議定書が発効した2005年を機に,『びっくりエコ百選』って,高島屋とかでイベントをさせていただいてる時に,共同でいろいろさせていただいてましたね。びっくり!エコ百選は8年続けました。ちょうど震災もありましたので,太陽光発電普及の取組であったり,大学での,キャンパスをエコにするような取組を今も続けております。」

■これまでの7回の放送のふりかえり
森谷「先生自身は,学生の頃からそういうことに関心をもってやり始めてらっしゃったのですが,今回の『コンパクトライフで,ごみ減量』の7回の放送で,いろんな方々にお越しいただきました。だけど,皆さん,本当に必死じゃないんですよね。」
浅利「そうですね。」
森谷「楽しみながらとか,こうすることで楽しいからやってたら,結果ごみが減ってきた,という取組をされている方が本当に多いですよね。」
浅利「特に,ふり返ってみると,楽しいこととか,効果や手応えが残るから余計だと思いますけど。たぶんやっぱり継続されるうえでは,相当苦労もされていると思いますが,そういう意味では,外から見て,そういう風に楽しんで見えるのは,すごくうれしいことですよね。私自身もそう思っていますし。」
森谷「ちょっと具体的にふり返っていこうかと思うんですが…。」
對馬「では,まず昨年の11月に放送した4回の内容です。1回目は,地域の人たちとモノの交換市『フリーフリーマーケット~捨てる神と拾う神』。これご紹介しました。2回目は,古着を用いたリメイクファッションの場を提供されている上京区のひなやさん。3回目は,整理収納コンサルタント森下真紀さんの『できるだけ捨てない整理収納』でした。4回目は,陶磁器の『金継ぎ(きんつぎ)』。割れちゃった陶磁器をうまいこと柄にやるような感じで,器だけでなく,愛着や思いも繋いでらっしゃる感じでした。」

■コミュニティづくりにつながるフリーフリーマーケット
森谷「フリーフリーマーケットは,お金はいらないけど,回りの人に『これ私に似合うかしら』と尋ねて,『いいね』と言ってもらえたら持ち帰ることができるという“おもしろルール”とかも追加したはりましたよね。」
浅利「でも,『似合わない』って言われることあったんですかね。」
森谷・對馬「あははは。」
森谷「『ごめんなさい,あなたにはこれは渡せません』って,ショック大きすぎますよね,そうするとね。」
對馬「それはこだわりですからね。でも,お金はいらないけれど,やっぱり大切なのはコミュニケーションだ,ということでしたね。」
森谷「だから,フリーマーケットって,“いらなくなったら,いる人へ”というのがコンセプトですけど,それだけじゃないコミュニティづくりにつながっていましたね。」
浅利「そうですよね。やっぱり,どういう風に使われてきたかとか,人の顔が見えて,そういうまた新しい形での物語ができるのかなという風に思いますね。」
森谷「そのモノ自体に,歴史が加わってきているから,簡単に捨てられないということですもんね。」
浅利「そうですよね。お金に限らずね。」

■若い人たちによる「ものを大切にする」動き
森谷「古着のリメイクファッションなんかもまさにそうで,これはお母さんの,おばあちゃんの,という着物とか,洋服の古着でも,『形見のものなの』,『私もまだまだ身につけたいの』というリメイクの要望も結構あるみたいですもんね。」
浅利「海外の方に,着物をリメイクしたものをお土産に持っていくことがあるんですが,すっごく感動されますね。誰が着ていたものか,とか。私たちが思っている以上にすごく価値があるのかなという風に思ったりしますけど。」
森谷「たしかに海外って考えたりすると,日本の家って築50年とかで『もう建て替えちゃうの』みたいな言い方したりしますけど,向こうではもう100年,200年あたりまえと聞きますもんね。」
浅利「そうですね。」
森谷「それが普通で,新築を建てるのが普通じゃなくて,中古住宅をもう一回住みやすいように変えたり,内装を変えたりするのが『家づくり』みたいな考え方がありますもんね。」
浅利「そうですよね。そういう風に家自体の財産価値というか,それが積み重なってきてなんぼ,みたいなところがあると思いますね。」
森谷「モノに対して,生きてきた証を感じる,価値を感じる方も多いってことですかね。」
浅利「そうですね。」
森谷「日本もちょっとずつそういった部分が出てきているのかもしれませんが,ただ,今回の放送でゲストにお越しいただいた方も,だいたい30代,40代で,僕ら世代の方々が多くて,若い方が積極的にいろいろな新しい試みをしたはりますよね。」
浅利「そうですね。さっき言った,ごみ減量推進会議そのものは,ご高齢の方も含めて,いろんな方に支えてもらってますけど,そんな中で,そういう芽が出てきているというのは,本当に無視できないというか,すごくうれしいですよね。」
森谷「ねえ,広がりですよね。」

■第5回は「懐かしくて新しいコーポラティブハウスという住まいのしかた」
對馬「この2月も3回の放送がありましたけれども,続けて5回目が,『懐かしくて新しいコーポラティブハウスという住まいのしかた』。これ新しかったですね。」
森谷「まったく知らない他人が集まってきて住む,というね。」
浅利「できますかね。」
森谷「ねえ。」
對馬「要望を言い合ってつくり上げていく,という…」
浅利「なんか,ちょっとチャレンジしてみたい気はしますよね。」
森谷「そうよ。基本的に関わりたくないって気持ちの方とか,積極的に関わりたいとか,いろいろありますけど,一緒にこう住む場所をつくっていく。結局,ご近所がコミュニティですもんね。それを一つの敷地内に収めていく,それも自分だけやったら,この金額だったら,これぐらいの場所しか占めることができないけれど,みんなで建てることでより広い土地を使うことができる。そういうシェアのしかたですもんね。」

■第6回は,本物のお茶をいただいた
對馬「続いて6回目は,茶葉から淹れたお茶の豊かさ,おいしさ,手軽さ,あと経済性。」
森谷「ああ,おいしかった。」
對馬「茶葉食べましたもんね。」
森谷「和束から来ていただいて。茶殻いうたら,あとは捨てるしかなかったもんね。」
對馬「あとは捨ててたね,今まで。」
浅利「いいですね。でも栄養たっぷり。そういう意味では。」
森谷「ちょっとポン酢かけただけで,あんなにおいしくなるなんて。」
對馬「おいしかった。」
浅利「継続できそうですよね。」
森谷「掃除の時に使われるという方がね,茶殻は多いですけどね。」
浅利「ねえ,聞きますけどね。」

■第7回は,学生たちが30年続けている「京都大学リサイクル市」
對馬「そして,前回は京大生が来てくれはりましたよね。30年続いているという『京大リサイクル市』を紹介していただいて,先輩から築いてこられた伝統ですね。」
森谷「ちなみに,先生が現役の頃もあったんですかね。」
浅利「ありました。ちょと傍から見てたほうなんですけども,でも本当に大変なんですよ。今ぐらいからすごく大変になると思うんですけども,彼ら自身がリヤカー引っ張って,取りに行って,校内中うろうろしている,みたいな…」
森谷・對馬「あははは。」
浅利「ちょっとない絵ですよね。」
森谷「4回生や院を卒業していく学生さんの先輩に声かけて,「いらないモノありませんか。」言うて集めて,次,新入生で来る子たちだけじゃなく,近所の方々も含めてね,皆さんにお買い求めはいただけるということですもんね。」
浅利「はい。」
森谷「ああいうのも,ボランティアで,最後の京大リサイクル市なんかも,べつに学生が儲けることはないんですもんね。」
浅利「そうですね,まずそんなことは考えてないですよね。発想がないですね。」
森谷「自分が地方から来た時に,家電買い揃えるのに苦労したから,安いのを買えて助かったとか,そういう感謝の気持ちを次に,というような気持ちですもんね。」
浅利「そうですね。それもありますし,捨て行かれるモノがかわいそうというか,もったいないという,その思いに衝き動かされるんだと思うんですけど。」
對馬「まずはリサイクルショップに売ることを考えてもらって,それでもダメだった場合は…というのもありましたよね。」
浅利「そうですね。」
對馬「受け取ってもらえなかったモノを後輩に譲っていく,と。まだまだ使えるんだって。」
森谷「そやそや,京大の東くんが言ってました。普通にリサイクルショップに売ってもらったらいい,と。それでも値がつかないとか,引き取れませんと言われたものを僕らは引き取っているんですって。ほんまに最後の最後のお話ですもんね。」
浅利「はい。」

■無理せず,楽しく,コンパクトライフ
森谷「『コンパクトライフで,ごみ減量』というテーマでやってきましたけど,浅利先生,この『コンパクトライフ』ですが,改めて,いかがですか。」
浅利「むしろお二人に聞きたいぐらいではありますけれども。私自身が普段『コンパクトライフしましょう』とか言っているわけではないんですけど,今,“ミニマリスト”とか,“断捨離(だんしゃり)”とか,流行っているじゃないですか。“終活(しゅうかつ)”とか。その中では一番しっくりくるのかなという風には思いますね。どうしても,ミニマリストというと,もう究極までなくさなくっちゃいけないとか,ちょっと無理だわみたいな。」
森谷「部屋の中に,ちょっとした本と,ちょっとしたジャンパーしかない,みたいな。一切モノを持たないっていう生活をしたはる人らですもんね。さすがにそれは無理やなと思いますもんね。」
浅利「ねえ。ちょっと近寄り難いですけど。そういう意味では,ダイエットじゃないですけど,少しでもコンパクトにしていくという風に。」
森谷「そういうことやね。『今,体重80kgありますねん。これ,1ヶ月で半分の40kgにします。』言うたら,それはおかしいやん。でも,『1年かけて75kgにしたいな。』とか,そういうことですよね。普段,ご飯おかわりしてたけど,まずおかわりやめよか,という,そんなとこからですよね。」
浅利「そうですね。まったくダイエットと同じだと思うんですけど,やっぱりメタボというか,皮下脂肪というか,ストックされてるのがすごく多いと思うんですよ。たぶん對馬(つしま)さんなんかも,いっぱいお洋服とか,いろいろお持ちだと思いますけどもね。」
對馬「そんなにないですけどね。でも,昔からのものが意外とあったりしますね。」
浅利「しますよね。どうしても手放せなかったり,いつか着るかも,みたいなものとか。そういうのが家にもですけど,都市にもいっぱい溜め込まれているので,それも含めて片付けていく,コンパクトにしていく必要があるのかなと。」

■ストックの多すぎる日本の暮らし
對馬「先生,日本人は異様に他の国と比べると,意外とモノをたくさん持ってるんですよね。家の中にあるモノ。」
浅利「ええ。ちょっと前ですけど,有名な『地球家族』という写真集があって,世界30カ国まわって,家の中のモノをすべて家の外に出して写真を撮っていましたね。」
對馬「見ました。全部外に出すんですよね,あれ。」
浅利「そして写真を撮るんですけれども,そうするともう一目でわかるじゃないですか。」
森谷「うん,うん,うん。」
浅利「日本はもう隙間家具から,何から何まですごい物量なんですよね。」
對馬「外国はそんなになかったですよね。」
浅利「いくら欧米とかの使い捨てしていそうな国でも,意外とストックは少ないのですね。さっきおっしゃったみたいに,家の価値じゃないですけど,モノにも歴史を重ねて大切に使っていく,というのがまだ息づいているのか。やっぱり日本人の暮らしが圧倒的にモノが多いですね。」
森谷「なるほどね。そういう生活をちょっと少なくしていく。また,もうじきまた衣替えのシーズンになりますけど,そういう時に見つめてもらうという…」
浅利「そうですね。さっきの学生さんのリサイクル市じゃないですけど,まずは貰い手を見つけられるものは見つけていただき,リサイクルに回してもらって,それでもっていうものは,がんばって処分をしてスッキリしていただいて,次買う時は,ちょっと良いものをね。後に残るようなものをね。」
森谷「うん,うん,厳選してね。」
浅利「はい。」

森谷「これまでご紹介してきました,出てきていただいた皆さんもそうですし,今ラジオをお聴きの皆さんも,ぜひ楽しみながら生活の中にエコを取り入れていただければ,より生活が素敵になっていくんだと思います。『コンパクトライフで,ごみ減量』。この時間は,京都大学環境科学センター助教の浅利美鈴先生にお越しいただきました。浅利先生,ありがとうございました。」
對馬「ありがとうございました。」
浅利「ありがとうございました。」
以上

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