報告「コンパクトライフで,ごみ減量」KBS京都ラジオでのトーク 第5回ゲスト 川本真澄さん

画像の説明文
【森谷威夫のお世話になります!!】の番組内コーナーとして放送

コンパクトライフで,ごみ減量
第5回 2016年2月2日(火)12:22頃~

出演者 川本真澄(かわもと・ますみ)さん
(コーポラティブハウス「さくらコート」住人/企業組合もえぎ設計所長,一級建築士)

■タイトルコールと提供クレジット
森谷「コンパクトライフで,ごみ減量」
對馬「このコーナーは,京都市ごみ減量推進会議の提供でお送りします。」

■番組の紹介
森谷「2015年11月に4回の放送をしまして,非常に皆さんから好評もいただきました『コンパクトライフで,ごみ減量』。今週からまた今月4回にわたり,いろんな話題で,どんな生活をしていくのがいいんだろうか,ということでご紹介をしていきます。提供は,引き続き,京都市ごみ減量推進会議,ごみ減の提供でお届けをします。『ごみ減』と覚えておいてくださいね。改めて,コンパクトライフとは何かをご紹介いただきましょう。」
對馬「はい,多くのモノを買っては捨てる,こんな暮らしが当たり前と言われている現代で,モノとのつきあい方を見直し,限られたもので豊かに暮らす暮らし方を『コンパクトライフ』と名付けております。今月も京都のまちなかで,このコンパクトライフに取り組んでいる方にご登場していただきます。」

■ゲストの登場
森谷「今日はどんな方に登場いただけるのですか。」
對馬「今日は,企業組合もえぎ設計の所長さんで,ここKBS京都のすぐお近くですけども,上京区新町一条のコーポラティブハウス『さくらコート』の住人さんでもある,川本真澄さんにお越しいただきました。こんにちは。」
森谷「こんにちは。」
川本「こんにちは。どうもはじめまして,川本です。よろしくお願いします。」
森谷「よろしくお願いします。」
對馬「よろしくお願いします。」

■コーポラティブハウスって何?
森谷「コーポラティブハウス……うーん,何ですか。」
川本「何なんでしょう(笑)。」
森谷「コーポっていうと,アパートとかマンションに“コーポ”って付いたりしてますけどね。」
川本「そうですね。簡単に言いますと,住宅の共同購入みたいなものと思っていただいたらどうかなと思うんですけれども。購買生協とかありますよね。ああいうイメージで。だから,これから家を建てようと思う人たちが組合を作って,土地の購入とか,設計とか,建設会社を選ぶとか,そういうことをみんなで共同で行うというスタイルの住まいづくりなのです。」
森谷「共同でここにこんな家を建てましょう,というのを考える,ということですか。」
川本「そうですね。始めに,『この人たちと住みたいわ』というグループがある場合もありますし,それもなくて,『この辺りに住みたいわ』という,こういう共同の住まい方といいますかね。少しご近所さんと仲良くなりながら,納得のいく住まいづくりをしたい。戸建じゃなくて,共同化した住まい。マンションの形もあるし,戸建の形もあるし,借家,借地型もあるし,なんでもあるんです。」
對馬「へえー」
森谷「じゃ,一戸建てのように完全にプライベート化して,それが集合するというのもあれば,お部屋ごとに分かれた,マンションのような形で,全体で集合するというのもあれば…」
川本「そうですね。それぞれの家はもちろんプライバシーが守られている一つの家なんですけれども,それらが集まっているということで,“集まる暮らしの楽しさ”というものを手に入れよう,というスタイルなんですよ」
森谷「はじめから仲間内で,仲良し五人組みたいな女子がね,それぞれ家庭を持つようになって,結婚式にずっとハンドベルやってたグループが『家を造ろか』みたいなね。」
對馬「ものすごい想像やね。」

■住まい方への様々な思いを形にするコーポラティブハウス
森谷「知り合い,仲良しはわかりますけど,全然知らん人同士も,さっきもおっしゃったけど,『この地域に住みたい』というので集まった例もあるわけですか。」
川本「そうなんですよ。そっちのほうが多いかもしれないですね。」
對馬「わあ,それ,うまくいけるんやろうか。」
森谷「あなたは無理。あなたが入った瞬間に,例えば,5家族あったとしたら,4家族ええ感じになっているのに,あなたのお陰で潰してしまうことになるから。」
對馬「そんなん,それぞれ要望がありますやんか。それを話していくわけですよね。」
川本「そうです。まさにそうです。『私はこう住みたいわ』,『こんなことしたいわ』というのをいっぱい出し合うんです。『それいいわね』,『それはいやだね』といろいろ話していく中で決めていくという緩やかな…」
對馬「でも,それ,いいかもしれない。最初に言い合えるってことは。それでみんなの理想のものがつくられていくということですもんね。」
川本「そうなんですよ。『私は音楽やりたいんです』とか『犬飼いたいんです』とか,初めに出し合うんです。だったら,ハード面はこういう風に造ったらいいね,とか,お互い様のところはどこまで,とか,そこらへんを話し合うので,住みたいように住めるということが目的なんですね。」
森谷「その時点で折り合わへんかったら抜けて行くということですね。」
川本「そうです,そうなんです。」

■親戚よりも近い関係になっていく…
森谷「引越しをして,土地買って住もうかとなったら,周り近所がどんな人かわからずに,住み始めてから『あら,隣りの人こんな人やったんや』という例とかね。逆に,隣りの人は『私は親の代からもう50年住んでますねん。急に来られてそんなんされたらかなわんわ』っていうのもあったりしますよね。」
川本「そうそう,それがないんですよ。」
森谷「まずないですね,そうすると」
川本「できる頃にはもうほぼ遠くの親戚ぐらいの……というか,もっと近い知り合い同士になれている。それが楽しみかな。」
森谷「はあ,近い他人に…。ちなみに金銭的に考えても,一人ひとりがやると,これだけかかるというのを,共同のスペースで,例えば,真ん中に緑の芝生の広場を造ろうよ,とか,そういうのを造るのも,何組かでやると,金額的にかなり押さえられるということですよね。」
川本「そうなんですよ。小さい箱庭がそれぞれあるんじゃなくて,それを一緒にしたら,そこそこまとまった庭がとれて…。そこで集えるとか,屋上を緑化したら,みんながそれぞれに楽しめる庭がつくれるとか,そういうメリットがありますね。」
森谷「一例として,持って来ていただいてるのが…(図面を拡げながら)…これはマンションスタイルの集合住宅になるんですね。」
川本「それはそうですね。」
森谷「それで,12345678…みたいな感じで,家族が9家族ですか。」
川本「さくらコートの場合は9家族……まぁ,8つの家族と,それから1軒,一条通りに面した1階には,『まちの縁側-とねりこの家-』といって,所有されている方がそこに住まずに,近所の人が集える『まちの縁側活動』をここでしたいといって運営されています。」
森谷「8家族が暮しているわけですが,真ん中に広い吹き抜けになった中庭があって,屋上を緑化して,そこでバーベキューを楽しんだり……。ここに住んだはる8つの家族の人らは,まったく最初は他人やったんですね。そして,できる頃には仲良くなっていて,みたいな。そして今,楽しく暮らしてらっしゃるんですね。」
川本「そうそう,そうなんです。」
森谷「年齢層も,小学校上がる前の小さいお子さんのいる家族もあれば,もうリタイアされたのかなというご夫婦もあります。そういった人たちが楽しく暮らしています。中庭の真ん中に桜の木を植えたはるねんね。お花見までできて。」
川本「そうそうそう。」

■費用も,共用スペースも分かち合い
森谷「こんなんを自分で造ろうと思ったら,いやらしい話,金額的にも相当なことになりますけど…」
對馬「それはもう」
森谷「言うたら,9家族(1軒は住んでいない。)で割れるということなんですね。」
川本「そうなんですよ。」
森谷「夢の集合住宅地をつくった,という」
川本「そうですね。一人ひとりの土地の持ち分って,20坪ぐらいかな,という感じですよね。」
森谷「いい感じにまとまっていけば,こうなるしね。」
對馬「まあ,それぞれやわね。」
森谷「さっきもおっしゃったけど,ここは譲れるけど,ここは譲れない,というのを最初にぶっちゃけて話し合っておくということですね。」
川本「そう。話し合いながら解決していくということですね。」

■周辺地域とも良好な関係が築かれ…
森谷「これだけの広さあったら,ここで地蔵盆的な集まりや,新しいコミュニティもできてくるし,そうすると,このコートの回りの住人の人たちは,特に京都やったら,高齢者でお一人とか,ご夫婦で,というご家庭も多いやろうから,それを巻き込んで,ここが核になって…みたいなこともあるんでしょうね。」
川本「とねりこの家で,何年か前から地蔵盆もさせていただくようになりました。」
森谷「どうですか,いくつかの例をやってこられたと思うんですけど」
對馬「川本さんは,企業組合もえぎ設計の所長さんで,設計もされて,ご自身ここ住んだはるんですね。」
川本「そうなんですよ。もえぎ設計で,京都市内で今まで4つのコーポラティブハウスを作ったのですが,このさくらコートが3つ目のプロジェクトだったんです。それこそ人集めをしている時に,居住予定者の方から『あんたも一緒に住んだらどうなん』と言われて,それもいいかなと思って仲間に入れていただいて,今日に至るという。もう11年経ちましたけどね。」
森谷・對馬「へえー」
森谷「なかなかシェアハウスとかは,ちょっとしんどいわ,とか…」
對馬「まあね,そやね。」
森谷「施設とかのそういうのもちょっといややわ,とか。自分のプライベートをしっかり守られながら,でもご近所さんとものすごく近い関係であって,こういうコミュニティが生まれてくるっていうね。隣りの家がどんな人かわからないのが当たり前みたいな時代に,逆に,そこがわかるからこそ,助け合いで……。それこそ,僕が子どもの時は,隣りがいとこやったんで,醤油借りにいったりとか,パン食べさしといてとか,いろいろやってましたけど」
對馬「そういう時代でしたね。」
森谷「そういうのにちょっと近い感じに,ここの住人たちはなっていくのでしょうね。」
川本「そうですね。子どもたちも大人のことをみんな名前で呼ぶという関係にあって,うまいこと,ここの家は勉強教えてもらいに行こう,うちの家なんかは寛ぎにいこう,みたいに,ちゃんと使い分けながら仲良く暮らしています。」
對馬「わあ,楽しそうやなあ。」
森谷「すごいね。」

■ご近所づきあいの深まりが,結果としてごみ減量に反映…
森谷「『コンパクトライフで,ごみ減量』ということですが,ごみ減量ということでもいろんなことが生まれてきてるんでしょうね。」
川本「あまり強くそこを意識しているということではないんですが,中庭とか,屋上を緑化してますので,そこから出た草とか,剪定した枝や葉っぱは堆肥にして桜の回りに埋めたりしていますし,屋上にもコンポストを置いて,これも使いたい人が使うようにしています。うちの家は薪ストーブを置いているんですが,ある日帰ったら玄関先にプレゼントのように剪定した枝が置いてあったり……そんなことはあります。それから,共用の階段の下を物入れにしていまして,そこにはいろいろいらなくなったものを供出してるんです。例えば,大工道具とか,自転車の空気入れとか,バーベキューセットとか,持ち寄って入れて,それは自由に誰でも使っていいよ,という風にしている。」
森谷「なるほどね。」
川本「古新聞なんかもそこにストックして,共同で出したり…そんなことをしています。」
森谷「“いらなくなったらいる人へ”というのが気軽にあって,本当にいらんもんは最後捨てはるんでしょうけどね。最後まで使える人が出てきたりとかね。」
對馬「そやね,そやわ。」
森谷「生ごみ処理機だとかそういうのを自分で全部買って用意して,となったら8家族分がいるんですけど,ここだったら1個で8家族がまかなえたりするということですね。」
川本「わりとゆるゆると,やれる範囲でやってますけどね。」
森谷「それもみんなで考えながら,こんなん欲しいなということで,みんなでお金出して,というのもあるでしょうし。」
川本「そうなんですよ。ホームセンター委員会というのがあって……委員会がいっぱいあるんですけどね。ちょっと共同の蛇口壊れたし買ってきて,とか,スコップいるわ,とか,そんなものを買って共用にしたりしています。」

■現代の村づくり
森谷「すごいなあ。今後こんな形,まだまだ広がっていきそうですよね。」
川本「そうですね。“現代の村づくり”と感じる人も多いみたいで,広がってほしいんですけど…。今,5つめのプロジェクトが進行中なんですが,それもさくらコートをご覧になった近くの地主さんが,こういうことだったらやってみたいと土地を提供してくださって。」
森谷「そうか,それもあるよね。地主さんがマンション建てようかな,とか,アパート造ろうかな,と考えている土地活用に,それやったら,こういう元気のある使い方してほしいなっていう」
川本「そうそうそう,地域に馴染むような形でマンションができたらいいなと思ったはる方は多いと思うんですよね。だから,ぜひ。左京のほうでもコーポに住みたいと思ってる方がぼつぼつ集まり始めていて,土地を探し始めてるところなので,もし何かあったら教えてほしいなと思います。」
森谷「ホームページとかあるんですか。」
川本「あります。『もえぎ設計』で検索していただいたら,載せておりますので,ぜひご覧いただけたらと思います。」
森谷「ひらがなで“もえぎ”,漢字で,設計事務所の“設計”ですよね。川本さんは一級建築士でもいらっしゃいますので,そのもえぎ設計でご覧をいただけば,このコーポラティブハウスとは何なのか,とか,いろいろ詳しい案内もありますし,ぜひそちらも参考にご覧をいただければと思います。」
川本「はい,よろしくお願いします。」

森谷「ということで,『コンパクトライフで,ごみ減量』のコーナーでした。この時間は,さくらコートの住人でもありまして,企業組合もえぎ設計所所長の川本真澄さんにお越しいただきました。ありがとうございました。」
對馬「ありがとうございました。」
川本「ありがとうございました。」

以上

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