講座開催報告 市民向け講座 できるだけ捨てない整理収納ワークショップ 収納編
平成28年2月20日(土)、築150年の京町家・ちおん舎で「できるだけ捨てない整理収納ワークショップ」を開催しました。
前回の整理編に続き、この回は「収納編」です。
講師は前回と同じ,整理収納コンサルタントの森下真紀さんです。参加者の多くは前回から引き続き参加された方々です。今回は鳥取県や三重県から参加された方もいらっしゃいました。
整理作業で出た不用品のもらい手探し
- はじめに、ごみ減量推進会議のスタッフから、昨年12月に実施した「整理収納モニター」さん宅での取組について報告がありました。
ホームページで「できるだけ捨てない整理収納」にトライしてくださるモニターを募集し、これに応募してくださったAさんのお宅に森下先生とスタッフが訪問し、3日間にわたって整理収納のアドバイスや実作業を行いました。整理作業で排出された不要品の中で、廃棄せざるを得ないものは京都市の処分場へ。それ以外の排出品については “できるだけ捨てない”の観点から、もらい手探しをしました。
排出品の具体的な行き先は以下の通りです。
① 衣紋掛け → Aさんの知人に引き取ってもらう
② 座卓、姿見、マガジンラック、ランドリーバスケット、キッチンバスケット等、計8点
→ネットの「ゆずります・もらいます掲示板」に出品。全てもらい手が見つかる
③ 衣料品10数点 → リユースショップで売却
④ 段ボール・古紙 → 古紙リサイクルに出す
- 今回スタッフが利用したのは、「ジモティー」というネット掲示板。ジモティーは、「売ります・あげます情報」をはじめ、犬・猫の里親募集、イベント情報、メンバー募集など、市町村単位で地域の情報が掲載されているサイトです。匿名でのやり取りを基本とし、応募や返信のメールを送信しても自動的に匿名アドレスになるといった工夫がされています。
- 排出品②は、このジモティー京都版の「売ります・あげます情報」を利用してもらい手を探しました。全品「0円」で出品したので、すべての品に「ください」の申し込みがありました。しかし、「さしあげます」と連絡しても、返信のない人もあったとか。これについて、「0円でなく、少額でも値段をつけたほうが、本当にほしい人が応募してくるので、無責任な対応は少なくなるはず。そのうえで、引渡し時に『代金は結構です』などとする手もある」といったアドバイスがありました。
- 排出品③の衣料品10数点は、市内のリユースショップへ持ち込みました。買取価格はトータルで210円。最も高く売れたのはご主人の作業着で102円。Aさんの女性用ジャケット2点が各50円。それ以外のものは、重量(グラム単価2~3円)によって買取価格が算出されます。
古着を売る時のポイント
・状態の良いものの方が買取価格は高くなる。
※状態の良いものとは。 シミ、黄ばみ、襟・袖口の汚れ、毛羽立ち、毛玉、ほつれ等がないもの。
・夏物は2~7月、冬物は8~1月が売りどき
・女性ものより、男性もののほうが高値がつく傾向がある
・量が多ければ出張買取をしてくれる店もある
- 1月下旬に冬物衣料を持ち込んだので、売るタイミングとしては良くありませんでした。とはいえ、10数枚の買取価格が210円。「ガソリン代をかけてお店まで行って、210円では納得いかないと感じる方もあるでしょう。もう少し高く売りたいなら、フリーマーケットのほうが良さそうです。
- ただし、もしこれだけの衣類を捨てようと思えば、45リットルの黄色いごみ袋が2袋は必要です。ごみ袋代に90円かかるところ、210円の収入があったと考えれば、納得できるかもしれません。引き取られた衣類が第二の人生を歩んでいると考えると、気持ちも楽になるかもしれません」との説明がありました。
整理収納に関するお悩みは?
- 森下先生の登壇です。
- 最初に整理編の内容を振り返りました。整理収納には「整理」→「収納」のステップがあること。整理の対象は「物」「道具」であること。こだわった「物」には自分自身が色濃く反映され、こだわって選ぶことが満足度の高い生活につながること。そして、楽しく物を選んでいくことを「ハッピーチョイス」という言葉を使って表現されました。
- ここで5~6人のグループに分かれて、「前回の参加後、どんなこと(整理)をしたか」「整理する上で難しかったことは」「収納について困っていること」などを話し合いました。
- → 両親が用意してくれた着物、母や祖母の着物、親族の遺品など
・普段使っていないのに、家族が「いる」「置いておいて」と言うもの
・世間の相場では高く売れないが、中途半端に値がつきそうなもの
- → 食器、衣類、本など
・パソコンのデータ、書類の整理の仕方で困っている
・押入れやクローゼットの奥行きが深くて使いにくい
などの意見が出ました。
- この日も着物姿の森下先生は普段から和装が多く、祖母の形見の着物を愛用されているとか。着物には「受け継ぐ」という慣習があり、それは着物とともに人生まで受け継ぐということ。思い入れのある着物は、着られるなら着てほしい。作り替えて着ることもできる。自分にとって大切なもの、思い入れのあるものを選び取り、身近に置いておく。これもハッピーチョイスです。
- 血のつながらないご主人の親の着物などは、ご主人の気持ちを確認すること。自分が着ないからといって簡単に捨てたり、雑に扱うのではなく、その着物に対するご主人の気持ちを第一に考え、大切に扱ってほしい。
- 保管するにあたっては、着物が傷まない収納を心がけてほしい。一例として、湿気に強く、耐久性に優れた「茶箱」を活用することを推奨されました。先生はアルバムなど思い出のものを入れる「メモリーの箱」としても活用しておられます。
収納のテクニック~モニターさん宅での実例
- 次に冒頭に報告のあったAさん宅での整理収納の取組についてのお話です。
- 今回、整理収納モニターとして協力してくださったAさんは、市内在住の50代の女性。ご自宅は3階建てで、ご主人と二人暮し。海外留学生の支援をされていて、ホームパーティーをよく開かれるそうです。
- 作業にとりかかる前にまず行うことは、空間全体の把握。対象となる全体を見て、広さや物の量などを把握します。
全体を見た後、個別のスペースに移り、具体的な収納方法について考えるのはその後です。できるだけ広い場所から物のグルーピングをしていくことが大切。収納がうまくいかず困っている人は、いきなり狭いスペースから取り組んでいることが多いとか。
- そしてもう一つ、作業前に行うのは、住んでいるご本人(Aさん)へのヒアリング。どんな部屋にしたいかというご意向をはじめ、生活スタイル、性格、趣味、利き手や持病まで情報収集されるそうです。先生は住人が女性の場合、モチベーションがアップする“何か”を提案するよう心がけておられとか。Aさんの場合は、趣味のネイルが楽しめるスペース作りを提案されました。
- Aさんへのヒアリングを基に提案されたプランは、目的や機能によって全体を大きく2つのゾーン「交流スペース」と「身じたくスペース」に分け、その中に「情報スペース」や「趣味のスペース」などを配したものです。
- 収納作業の際に、具体的に使ったテクニックや注意事項を紹介してくださいました。
【クローゼット】
- ・手前と奥を使い分ける
手前によく使うものをかけ、奥にオフシーズンのものや使用頻度の低いものをかける。
後ろのものは少し高くして見えるようにしておく。
- ・ハンガーを揃える
収納用品を統一するとすっきり見えるだけでなく、本当に必要なもの(洋服)に目が行く。
クリーニングのハンガーは,あくまでクリーニング店から客さん宅まで運ぶためのもの。長期の保管用に使うと,服が型崩れしやすくなる。
- ・洋服の色をまとめる
すっきり見え、洋服選びがしやすい。必要な洋服を簡単に見つけられる。
【メイク用品】
- ・小物入れを使って同じ目的のものをまとめる。
スペースに限りを設けることで、必要以上に物が増えない。
- ・使用頻度によって位置を分ける
使用頻度の高いものを一番上に。
- ・口紅やピアスなど、カラフルなものをまとめて目立つ場所に置く。
ワクワクして、気持ちを高揚させる効果。
【書類】
- ・使用頻度で収納場所を分け、頻度の低いものはクロスで覆って隠す。
クロスと壁の色とを,同じか、もしくは近いものにするとすっきり見える。
【趣味の用品】
- ・小さな箱やカゴを用意し、細々したものをまとめる
《収納の3つのポイント》
- ・行動動線
- ・使用頻度
- ・シンプルな収納用品
- 実際の収納用品を見ながら、「収納用品選びのポイント」を紹介してくださいました。
- 中が見える半透明なもの、洗える素材のものが使いやすい。憩いの場所には、丸いものや籐の素材のものを使うと気持ちが和む。
- 収納用品を使って物の置き場所を決めると、物が増えることを抑制でき、無駄なものを買わないようになる。
- 収納で大切なのは“思いやり”。次に使う人、自分以外の人が使いやすい、ということを考えながら収納しましょう。
- 最後に、ごみ減量推進会議スタッフより、「当初,『できるだけ捨てない整理収納ワークショップ』は,整理編・収納編の全2回の予定だったが,好評につき、3月21日(月・祝)に第3回が開催されることが決まりました。次回は「衣類」がテーマです。」との発表がありました。
以上