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講座開催報告 市民向け講座 できるだけ捨てない整理収納ワークショップ 整理編
平成27年12月5日(土)、築150年の京町家・ちおん舎で「できるだけ捨てない整理収納ワークショップ」を開催しました。
- ちおん舎は、明治初年に建てられた老舗法衣商の旧宅で、昔ながらの生活文化が垣間見られる伝統的な木造建築です。今回のワークショップは、お庭に面した広間で和やかな雰囲気の中、行われました。
- 全2回の講座の前編となるこの回は「整理編」。参加者は30名(うち男性2名)で、京都市内を中心に、遠くは姫路や伊賀から参加された方もおられました。定員をはるかに上回る申し込みがあり、多くの人が整理や収納に関心を持っていることを実感しました。
- はじめに、京都市ごみ減量推進会議(以下、ごみ減)の紹介と、ごみ減が整理収納セミナーを計画した意図について、スタッフから話がありました。「“できるだけ捨てない”のタイトル通り、整理や片付けで出た不用品をできる限り捨てない工夫をする。少し工夫をすれば限られたモノで豊かに暮らすことができる。そんな一歩進んだ整理収納が狙いです」。
- 講師を務めてくださったのは、整理収納アドバイザーの森下真紀さん。NPО法人暮らしデザイン研究所の理事長でもあり、京町家を拠点に着物とともに“和ナチュラル”な暮らしの提案を行っておられます。日常的に着物を着用しているという森下先生は、この日も淡い色合いの和服姿で登場されました。
- まずは参加者の自己紹介です。同じテーブルの5~6名でグループを作り、名前・どこから来たか・参加のきっかけをそれぞれ付箋に書き、グループ内で自己紹介。その後、全員の前で発表しました。参加動機に「整理ができない」、「モノが捨てられない」、「ついモノが増えてしまう」、「限られたスペースをどう使えばよいかわからない」といった整理収納の悩みが次々と挙げられました。
モノとの付き合い方を考える
- ご自身も京町家で暮らしているという森下先生。「我が家の風景」として、先生の自宅の写真をスクリーンに映し出し、ライフスタイルを紹介されました。羽釜、座布団、茶箱、応量器など一つひとつのモノにこだわりを持ち、気に入ったものを選んで使っていること。また、リビングに電化製品や日用消耗品を置かないといった自分なりのルールを作っていることなどを、具体的に写真を紹介しながら話されました。
- ここでグループに分かれて、各自の生活の中でのこだわりについて話し合いました。「色にこだわっている」、「長く使えるものを選ぶ」、「気に入るものが見つかるまで買わない」などの意見が挙がりました。こだわったモノは自分自身が色濃く反映されており、こだわって選ぶことが満足度の高い生活につながるとのことでした。
モノを分ける具体的手法を学ぶ
- 整理収納には「整理」→「収納」というステップがあります。そして、片付けるためには、定位置を決めて、使ったら元の位置に戻すという習慣化、ルーチンが大切であるというお話でした。
- 次に、具体的にモノを分ける方法を学びました。
- 自分の生活を見直して、自分で管理できるキャパシティ以上のモノを持っていないか。まず今、持っているモノを仕分けてみましょう。「使う・使わない」と「好き・嫌い」のそれぞれの軸を照らし合わせて分けていきます。「好きで使うもの…◎」、「嫌いで使わないもの…×」、「好きだけれどあまり使わないもの…○」、「あまり好きではないが使っているもの…△」の4つに分けることができます。◎は文句なく置いておく。×は処分する。ここで難しいのが○と△。そこで、○にあたるアルバムやぬいぐるみなど、思い出のものを入れておく「メモリー」という箱を設けることを提案されました。先生は実際にメモリーの箱を設け、湿気に強く、耐久性に優れた茶箱を活用しているとのこと。
- こうした4つの分類を頭に置いて仕分け作業をすると、本当に必要なモノが見えてきます。最初の段階で、本当に欲しいのか、どんなものに囲まれて生活したいのかを自分自身に問いかけて、選んでモノを持つことが大切。モノに振り回されず、好きなモノだけに囲まれて生活できるのが理想的なライフスタイルだと話されました。
かばんの中身を分けるワークショップ
- 次に、スタッフのかばんを使って、実際に持ち物を整理してみました。まず、かばんに入っているものをすべて机の上に出します。財布、手帳、ハンカチ、ティッシュ、お弁当箱、水筒、仕事の書類、化粧ポーチ、ソーイングセット、エコバッグ……など、たくさんのものが出てきました。それらを「使う物」「使わない物」「迷う物」の3つに分けていきます。ここで大切なのは、財布やポーチなどの入れ物は、それごと分けるのではなく、中身を一つひとつ出して分けることが大切とのこと。そして、今日使う物だけをかばんに戻します。整理後のかばんを手にした持ち主のスタッフは、「わぁ~、すごく軽くなりました!」と声を上げていました。
- そして、今回のセミナーに参加したことで、普段から2Rの中でも特にリデュース(=減らす)、家の中に入ってくるものを減らすことを心がけてほしい。先生はそれを幸せなものを選び取る「ハッピーチョイス」と呼んでおられるとのこと。自分の家の中は地球の環境にもつながっているという意識を持ってほしいと締めくくられました。
ごみ減からのお知らせ
- 最後に、ごみ減スタッフから、不用品が発生した際に活用できるフリーマーケットなどの情報を掲載した「捨てずに片付く,もらい手見つける,京都の情報」や,リユース・リサイクルショップ、修理店などの情報を載せている「もっぺん」サイトの紹介がありました。
- 参加者からは、「モノを買う時に少し考えてから買うようにしたい」、「要らないモノは捨てなくてもいろんな処分方法があることがわかって、最後の情報が役に立った」といった感想とともに、「整理のコツがわかったので自分にもできそう」「早く家に帰ってやってみたい」といった前向きな声が数多く聞かれました。
以上